新幹線に乗る機会が多い方や鉄道ファンにとって、「N700」と「N700S」という名前はよく目にする存在かもしれません。
しかし、似たような名前と外観でありながら、その中身には多くの違いがあります。
この記事では、2007年に登場したN700系と、2020年にデビューした最新鋭のN700S系について、性能・設備・座席・運行形態・走行性能などの視点から徹底比較していきます。
これから新幹線を利用する方にとっても、ちょっとしたトリビアや快適な車両選びのヒントになるはずです。
N700Sがどのような進化を遂げたのか、そしてどちらの車両が自分にとって快適か、ぜひこの記事を通じて知っていただければ幸いです。
N700とN700Sの基本的な違い

N700系の概要と特長
N700系は、2007年にデビューした東海道・山陽新幹線の主力車両です。それまでの700系から大きく進化し、高速走行時の乗り心地や環境性能の向上が図られました。
特にカーブ通過時に車体を傾ける「車体傾斜装置」の搭載により、スピードを保ちながら安定した走行が可能となったのが大きな特長です。
N700Sの進化ポイント
N700S(Sは「Supreme」の略)は、2020年に運行を開始した最新型の新幹線です。N700系をベースにしつつも、車両全体が新設計されており、より高い安全性と快適性、そして省エネルギー性能を実現しています。全席にコンセントを設置したほか、バッテリーによる非常時の自走も可能となりました。
両車両の基本スペック比較
N700系とN700Sでは外観こそ似ていますが、性能面や機器配置は大きく異なります。
N700Sは、標準車両仕様(Standard Type)に基づき設計されており、将来的な輸出も視野に入れたモジュール構造を採用しています。
座席と車内設備の違い

グリーン車の仕様比較
N700Sではグリーン車の座席がさらに進化し、背もたれの角度や座面のクッション性が向上。より静音性の高い空間設計も採用され、移動中でも快適なビジネスタイムや休息が可能です。
N700系でも十分な快適性がありますが、N700Sの座席は「上質」をテーマにアップグレードされています。
普通車の座席配置と機能
普通車においてもN700Sではすべての座席にコンセントを設置。N700系では窓側・一部のみの配置でしたが、N700Sでは全席対応に進化。
また、座席のデザインも刷新され、長時間乗車時の快適性が高まりました。
車内 Wi-Fi の有無
N700系、N700Sともに車内Wi-Fiが利用可能ですが、N700Sではより高速・安定した通信が可能なネットワーク設備が整備されています。
出張や旅行中の情報収集、動画視聴もスムーズに行える点が評価されています。
運行形態と列車名の違い

のぞみ・ひかり・さくらの必要な情報
N700系・N700Sはどちらも「のぞみ」「ひかり」「こだま」などで使用されますが、N700Sは特に「のぞみ」の主力車両として活躍しています。
また、山陽・九州新幹線区間では「さくら」「みずほ」でも一部使用されています。
運行路線と停車駅の違い
基本的な運行路線に違いはありませんが、N700Sは東海道・山陽新幹線の高速走行区間で多く導入されており、N700系よりも新たに「こだま」への転用も含めた柔軟な運用が可能です。
停車駅自体の差は車両というより列車種別に依存します。
特急名と車両の関連性
列車名と車両形式の関係は、時期やダイヤ改正により変動しますが、現在では「のぞみ」にN700Sが積極的に投入され、N700系は徐々に「ひかり」「こだま」などへのシフトが進んでいます。
最高速度と走行性能

最高速度の違いとその影響
N700系・N700Sのいずれも営業最高速度は285km/hで共通ですが、N700Sでは制動性能が強化されており、ブレーキ距離の短縮によってさらなる安全性が向上しています。また、将来的な速度アップも見据えた設計がされています。
走行安定性と騒音性能
N700Sでは車体の軽量化と構造強化により、走行中の揺れや騒音が大幅に低減されました。特に深夜や住宅地を通過する際にも静粛性が高く、環境への配慮が感じられます。
運転装置と制御技術の違い
制御システムでは、N700Sに最新のインバータ制御が導入されており、エネルギー効率の向上とトラブル時の冗長性が強化されています。また、各モーター車両の配置も見直され、加速・減速時のバランスも改善されています。
運用と編成の違い

定期運行と増便の関係
N700Sは現在、主に「のぞみ」の定期運行として使用されており、N700系と並行して運行されています。混雑期や増便時には両者が併用されるケースも多く、柔軟なダイヤ編成に貢献しています。
編成の構成と運用方式
N700Sでは16両編成だけでなく、12両や8両編成への転用を想定したモジュール構造を採用。今後の運行ニーズに応じて、地方路線などにも対応できる柔軟性が強みです。
新型車両投入計画
JR東海・JR西日本では、今後もN700Sを増備し、N700系の置き換えを進める方針です。新造車両は主に東海道新幹線での運用を前提に導入が進められており、次世代水準の新幹線として期待されています。
N700とN700Sの改良点

マイナーチェンジの内容
N700Sは、外観のベースデザインはN700系を踏襲しつつも、ノーズ形状の見直しやライトの配置変更など、空力性能を高める細かな変更が施されています。
また、内装デザインもより洗練されたものにアップデートされています。
機器の更新と強化
車両の主要機器もすべて最新型に置き換えられており、特に制御装置や空調設備、ブレーキシステムの強化が目立ちます。これにより、耐震性や非常時対応も向上しています。
デザインや形状の変化
N700Sでは「デュアルスプリームウィング」と呼ばれる新設計のノーズ形状を採用し、空気抵抗を抑えつつ騒音も低減。
外観だけでなく、車内照明のLED化や案内表示の高精細化など、デザイン面でも一新されています。
まとめ

N700系とN700S系は、一見するとよく似た新幹線ですが、細部に目を向けると大きな進化が感じられます。N700Sは、省エネ性能や安全性、快適性の面で一段と優れた設計が施されており、まさに次世代の新幹線と呼ぶにふさわしい仕上がりです。
また、座席や設備の改善はもちろん、運行の柔軟性やメンテナンス性など、長期的な運用を見据えた工夫が随所に見られます。N700系もまだ多く運行されていますが、今後N700Sへの置き換えが進む中で、利用者としてどちらに乗るかを意識するのも楽しみの一つです。
この記事を参考にして、次に新幹線に乗る際はぜひ車両の形式にも注目してみてください。きっと、移動そのものがさらに楽しく、快適なものになることでしょう。